〜インガオウホウの長い話〜
ぜーんぶやりっぱなしだし。
なにひとつ、ちゃんと回収してない。
不倫しても償わず。
うちをめちゃくちゃにしても片付けず。
子供たちを傷つけても謝らず。
アパートのコタツ布団に引っかかった毛さえ放ったらかし。
まあなにせ悪事がみなさんに知れてよかったです。
だって、あのまま放っておいたら、たぶんわたしが悪いことになってた。
タカユキを長年、悪妻として苦しめ、家のことも子育ても仕事もなにひとつ満足にこなせず、それに辟易したタカユキが新しくパートナーを見つけ、めでたしめでたし。
みたいな。
タカユキはまさにその通り言いふらしてたしね。
わたしが誰にも何も言わずに20年耐えてたのをいいことにね。
あなたとタカユキという悪人たちに、わたしたち母子は無一文で追い出されるところでした。
本当によかった。
ありがとう、マルオ。
天網恢々疎にして漏らさず。
とにかく意味がわからないのが、踏み込まれる前のわたしたち母子の声なき「やめて」も、踏み込まれた後のハッキリとした「やめて」もまったく無視したくせに、自分の「やめて」は通ると思ってるとこだよね。
なんていうか。
フェアに生きるなんて、なんのことやら分からないでしょう?
フェアに生きるって、あなたがよくやるような、俯瞰から見下ろすことじゃないんだよ。
自分も含めて同じステージ上で、公平に判断すること。
結果的に、たくさんの人間が大事なものを失いました。
あなたも含めてね。
あなたがしたことは、蛇足。
全部ね。
子供たちの人生、どうしてくれんの?
どうして家族を捨てさせるギリギリまで、神経症の妻子持ち既婚男性を追い詰めたの?
いま全部、自分に返ってきてるね。
ママ、インガオウホウってなあに?って聞かれたら、この長い話をしてあげてね。