〜 王子様とお姫様、そして魔女 〜
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あたしはかわいそうなお姫様。
見目麗しく優しく賢いのに、1人目の王子様はあたしをひどく裏切り傷つけた。
それでもあたし、小さな子供たちを独りで見守り育てていたわ。
あるとき2人目の王子様があらわれて、私を塔のてっぺんから連れ出してくれた。
だってあたし、忘れかけていたけれど、本当はお姫様なんだもの。
その2人目の王子様には、なんだか呪いがかかっていたようだけれど、見て見ぬふり。
それからは、夢のように楽しい毎日だったわ。
そうして2年ほど経ったある日、醜くく恐ろしい魔女がいきなりあらわれて、不思議な呪文をたくさん唱えて、あたしと王子様の魔法を解いてしまった。
ひどい。
ひどいわ。
あたしが何をしたって言うの?
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卑怯者。
やることなすこと全て美化して正当化して生きてるから、不倫相手の妻を悪者に仕立て上げたり出来るんだよ。
わたしと子供たちがあなたに何をした?
卑怯者。
わたしたち夫婦は破綻などしていなかった。
そしてあなたは、わたしたち夫婦が破綻していなかったかもしれないという可能性を、十分に推測できていた。
わたしたち母子に多大なる精神的苦痛を与える可能性も。
卑怯者。
わたしたち夫婦は、破綻などしていなかった。
そしてあなたは既婚者で、タカユキが既婚者であることも知っていた。
その姿がセクシーって、よくそんな気色悪いこと既婚者に言えるね。
あなたの軽率で見通しの甘い行動が、わたしたち母子に経済的肉体的精神的苦痛を与えました。
わたしは、一生ゆるさないと言ってるの。
わたしたち母子、タカユキの両親、親戚一同、あなたを一生ゆるさない。
気持ちよかったかもね。
楽しかったかも。
でもそれで、こんなに失うとはね。
約束を破ってないといいけど。
一生、タカユキと連絡を取り合わない。
一生、タカユキの家族の誰とも関わらない。
破ってないといいけど。
雪が降ると
(はぁ~あの雪が沢山降った夜にタカユキくんが来て抱きしめられたから覚悟したのよね~うふふ)
って思い出に浸るの?
なんだかよくわからないけど、そんな感じの気色悪いこと言ってたよね。
ステキな思い出がいっぱいあっていいね。
真実の愛だったもんね。
子供の同級生の父親である既婚男性を誘惑したぶらかし依存させ、その人がそれまで大事にしていた家族をぶち壊し、めんどくさくなったらその家に殴り込んで土下座して別れたんだもんね。
真実の愛。
あなたの子供たちは、あなたがどれだけ酷いことを不倫相手の妻子にしたのか、知らないんでしょ?
うちの子供たちは、父親とその相手が何をしたか全部知っていて、最近まで何年も悩み苦しみ傷ついていたけどね。
真実の愛。