猫と学ぶ、はるまきの作り方

春巻ねこです。物語のようなものを書きます。書きながらの公開なので、随時加筆訂正しますが、大筋のストーリーは変わりません。この物語は、フィクション、です。

057 夫と子供の同級生の母親がダブル不倫を後悔した話

 

Blue Moon

Blue Moon

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〜 寝言は寝てから 〜

 

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かわいそうなシロ。

ごめんね。

タカユキくんは、もうあたしのものなの。

ただ、タカユキくん優しすぎて、子供たちと別れる決心がつかなかった。

で、モタモタしてたらシロにバレちゃった。

 

あたしは逃げも隠れもしません。

不倫っていう形にはなってしまったけど、タカユキくんを愛してるの。

この世界で一番大事なことは、愛することでしょう?

 

もちろんシロには、タカユキくん代をちゃんと払うから。

 

「シロとはもう5年以上レスで、家庭内別居で離婚寸前、子供たちのために仕方なく一緒にいるだけ、本当はずっと、もっとしっかりした人と再婚して人生やり直したいと思ってた」

 

そんなタカユキくんとお互いの痛みを慰め合っていたら、愛し合うようになってしまったの。

浮気ばかりのムカつく夫とも、タカユキくんとの交際スタートから半年後には離婚したし、こちらはもう準備万端で、タカユキくんはいつでも身ひとつで来てくれればよくて。

 

タカユキくんとシロの子供たちの養育については、タカユキくんもちゃんとしたいって言ってるから、あたしたち2人で頑張って払っていくわ。

シロには子供たちをきちんと育てられないかもしれないから、こちらで引き取って育ててもいいと思ってる。

あたしたち、幸せになるね。

 

ああ、でも、あたしたちに欠けてたのはケジメだよね。

タカユキくんがちゃんとシロと別れたら、晴れてあたしたち一緒になれるから、それまでは辛いけど会わないようにするね。

 

はい、それで、気になるタカユキくんのお値段は?

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踏み込んだ後にあなたが言ってたのって、要するにこういうことだったよね。

かわいそうな人を救おうとして愛し合うようになってしまった、って。

慰謝料は払うから、って。

タカユキとわたしが離婚するまではもう会わない、って。


わたしにはあなたのことが、屋台で強気の値段交渉をする傲慢な人に見えてたよ。

あなたは、シロが望むようにしたいって言いながら、自分がこのテーブルをコントロールしてると思ってたんでしょ。

根っからの商売人で、ネゴシエーションはお手の物だもんね。

自分にハマり切ってる既婚男性と、その愚鈍な奥さんくらい、ピース オブ ケーキだと思ったんでしょ。


でもね、あなたは、商品のことも、商談相手のことも、実はなーんにも知らなかったの。

自分が知ってると思ってたことを何も知らないのを、知らなかったの。


こわいよね。

閉ざされた場所で2人きりで会うことしかできなかったから、対外的にも、相手にも、自分にさえもお互いに嘘ばかりついていた。

そして見つからない限りは誰にもその嘘を咎められないから、嘘をつくこと自体の罪悪感もどんどん希薄になっていった。

クズまっしぐら。

 

寝言は寝てから言えし。