猫と学ぶ、はるまきの作り方

春巻ねこです。物語のようなものを書きます。書きながらの公開なので、随時加筆訂正しますが、大筋のストーリーは変わりません。この物語は、フィクション、です。

046 夫と子供の同級生の母親がダブル不倫を後悔した話

 

The Island

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〜 踏み込む瞬間に決めたこと 〜

 

他の女性たちはさ、子供たちから父親を奪おうとしには来なかったのよ。

まだだっただけなのか、遊びだっただけなのか、よくわからないけど。

あなただけです。

うちを全力でぶち壊しに来たのはね。

 

「シロはどこまでも脅してくる」

みたいなことを言われるのも心外。

わたしはいつまでも続くこの苦しみと戦ってるだけ。

正当防衛じゃん。

そもそも始めたのはあなたたちでしょ。

わたしと子供たちこそが純粋な被害者。

ちがう?

 

わたしが踏み込む瞬間に心に決めたことは、ただひとつ。

すべてを慎重に行うこと。

 

あのアパートのドアが開いてすぐ、目も合わせずに回れ右をして部屋の奥に入っていったあなたの背中を見ながら、これからの言動すべて注意するぞ、って自分に言い聞かせた。

絶対に悪者にならないようにするぞって。

わたしは少なくとも、このバカップルにアドバンテージがある。

今この瞬間、せっかくバカップルが悪者でわたしは被害者なのだから、軽率な言動でその立場を逆転させたりしてはならない。

もしかしたらこの、子供の同級生の母親も、わたしと同じようにタカユキに精神的に捕らえられた被害者かもしれない、だったとしたら逃がしてあげてもいい。

でも、わたしたち母子に対して悪意があったと見極めがついたら、全力でぐうの音も出ないくらい完膚なきまでにぺっちゃんこにする、って思った。

子供たちのためにね、そうすることに決めた。

 

だからわたし、踏み込んだ瞬間から、暴言も暴力もないし、あなたやタカユキに手をあげたり、何かを壊したりもしてないでしょ?

慎重に慎重に、言動を選んでたからね。

絶対悪者にはならないって。

 

で、その2ヶ月後にあなたもただの共犯者だったと見極めがついたから、助けられないとわかった、それだけ。

 

で、うちの子供たちにどうやって償うの?

どうしてわたしたち母子にこんなことをして、なんの償いもしないで平気なの?

わたしの大事な子供たちをすごく傷つけたのに。

父親への信頼も、愛情も、ぜんぶダメにしたのに。

 

よくそんなことをして平気だね。

自分だけ。

自分だけなんだね。

自分の子供には母親ぶって綺麗事。

不倫相手の家の子供なんて、どうでもいいんだよね。

どういう風に育つとそういう人間になるの?

 

タカユキによると、始まったのも、終わったのも、全部あなたのせいらしいです。

わたしは、その責任が半々だって知ってるけどね。