〜 全部パー 〜
不倫を責めてるんじゃないんだよね。
タカユキも分かってないみたいなんだよ。
なんか、不倫を責めるなんて了見の狭いことしやがって、みたいに言うの。
まあまずどの口で言ってんだろうってとこはあるけど、それ以上に、未だに何を責められてるのか理解できてないだなんて、衝撃だよね。
「不倫のなにが悪いんだ?
大人同士なんだから本人たちの問題だろ。
好きになることのなにが悪いんだ?」
違うんだって。
今回あなたたち2人が怒られてるのはそこじゃない。
ちなみに、不倫を責めていいのは私たち母子と、あなたの元夫とあなたの子供たちだけだよね?
他の人たちは、タカユキとあなたの不倫を責める立場ではない。
でもま、今はそれは関係ないから置いておいて。
不倫が悪いかそうでないかについても置いておいて。
あなたたちは別に不倫を責められてるわけではないの。
嘘つきとか、想像力がないとか、バカじゃないかとは思われるだろうけど。
タカユキが怒られているのは、度重なる爆発と沈み込みで苦しませ続けたわたしを20年も飼い殺し、歳をとったら子供もろともいきなり捨てることにしたところ。
あなたが怒られているのは、最初から最後まで不倫相手の妻子を思いやることなく、自分の欲のために幼い存在を傷つけ、それがバレたら開き直り、今に至っては逆ギレし、周囲のそれまでの同情心と親切心を裏切ったところ。
「わたしたち、似てるの…」
っておセンチに気持ち悪いこと言ってたけど、ほんとにそうだよね。
似てるわー。
危機管理能力に欠け、見通しが甘く、軽率で、人を見る目がない。
思い出したけど、タカユキと交際し始めた20年前、ひと月も待たずに殴られるようになったの。
グーで顔をね。
もちろん、わたしも問題だらけだった。
若くて、世間知らずで、金銭感覚もゆるく、将来の計画もなく、とにかく無知でいい加減な甘ちゃんだった。
完璧主義で、野心的で、ストイックなタカユキの激昂トリガーを、無意識に引きまくってたんだね。
でもだからと言って、男性が女性の顔をグーで殴っちゃダメね。
だからそれを何年もかけて、何度も何度も罪をリマインドすることで罪悪感を刺激して、やっとすぐに手を出したりしないように教え込んだわけ。
そしてもちろん、同時にわたしも長い時間をかけて歩み寄り、成長し、努力した。
でもあなたのおかげで全部パーです。
またすぐ手を出すようになってしまった。
しかも、暴言を吐いても構わないと思っている。
かわいそうなのは、うちの子供たち。
父親の情緒が安定せず、すぐにキレて、妻をバカにし、暴言を吐き、怒鳴り散らすところを見ていなければならない。
わたしが何年もかけてやっと、それは悪いことだと教え込んでたのに。
あなたがタカユキの言いなりで、なんでも彼の思い通りに甘やかし、スポイルしてしまったから、クズでいることを肯定されることで、そのままでいることに自信を取り戻してしまった。
あなたはすぐに、夫婦の問題は2人で話し合って解決しろと言うけれど、これは夫婦の問題だけではなく、明らかにあなたにも原因がある気がするのだけれど。
ほんと余計なことしてくれたよね。
ここまで来るのに何年かかったと思ってんの。
あなたたち2人で勝手にうちの夫婦関係は終わってたとか言わないでくれる?
わたしたち母子の気持ち考えてみろや。
ああもう、疲れるわ。